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柊歌乃と襖によるスザルルリレー小説置き場
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襖のターン!です(´∀`)
約2330文字


今日で幾度目かしれないチャイムが響く。だんだん周囲は騒がしくなり、各自下校準備をはじめる。スザクとルルーシュも同様に教科書や筆箱を入れたカバンを背負った。

「なあルルーシュ。学校、どうだった? 楽しかったか?」
「学校に楽しさなんか求めてない」
「そんなんつまんなくねぇのか? お前」
少しむすっとしてスザクが言い返す。それなりに学校生活を楽しんでいるスザクにとっては嬉しくない回答だ。そもそも、校内案内のほうはちっとも楽しくなかったのか。
毎度問いかけをすればだいたいこうなることはわかっている。それでも問いかけてみたくなるのは"そういう事"なんだとは思うが、だからこそ期待をしてしまっている。
時々この期待に応じて思ってもないことを言ってくれれば…いや、思っていてくれないならつまらないけど、けど。
「…… …楽しい勉強も今のところ、無かったから」
ルルーシュが少し考えた後に答えた。
「え、お前楽しい勉強とかあんのかよ!…… 変なの」
「っ! 変なのとは何だ!」
「ああ、わっりぃ! 楽しい勉強なんか俺しらねぇから」
怒っていそうなルルーシュを軽くかわすことが、なんとなく身についてきたスザクはてきとうに笑う。
ルルーシュはおとなしそうで冷静なのに、どこか喧嘩っ早くて負けず嫌いだと思う。

そこでスザクは思い出した。
「あ、そだ。俺当番で職員室に届けるものあるんだけど、待ってるよな?」
「先に帰ってもいいのか?」
「え、別にいいけどさあ…」
「じゃあ僕は先に帰るからな」
スザクはすたすたと教室前のドアへ向かうルルーシュの背中を見送り、幾度目かしれない「やっぱり可愛くない」を心の中でつぶやく。もう口に出すのは面倒になった。
普通待ってるものじゃないのか?と思いつつも"男だったら"なんて言った限りには「待っててくれ」だなんて言えるはずもないし、別に頼んで待っていて欲しいわけではない。なんというか、こう…

「…ま、大丈夫だよな」

最近ルルーシュのおかげで一時もやもやと解決しない事が多い。それでもルルーシュと話せば解決するとか、"そういう事"なんだと知っているから、スザクはそう気にすることなく小走りで職員室のほうへ向かった。


一方ルルーシュはというと、まさか道に迷うなどということはないが、スザクと一緒に帰っておけばよかったと思っていた。むしろ職員室まで一緒に行けばよかったとさえ思っていた。

"なあお前ってブリタニアからきたんだろ?"
「ああ」
"どっかの偉い家の息子なのか?"
「さあな」
"返事しかできねぇのかよ、つまんねぇのー"
「……」

そう言って走り去ったと思えば、また別の人がルルーシュに話しかける。
ルルーシュからすれば他人にすぎないし、興味も無い。返事をするだけマシな仲の相手だ。会話は長続きするわけではないが、こう繰り返されるとうんざりする。つまり理由はこれだ。

「虫の声だけでも鬱陶しいのに…」

ここにスザクが居れば話しかけてくる人も減っただろうし、何よりスザクと話をしていればいい。事情を知っている相手として、付き合いがある相手として、スザクを選ぶのは普通の事だ。コイツらに比べれば、スザクのほうが身近で心開ける相手ということも事実だ。
(別にスザクを特別視して一緒に帰りたいというわけではなくて…)
それでも「人避けにスザクを使う」なんて言い方は率直に腹立たしい。それはスザクを他人としてではなくきっと"友人"としてみているのだろうと思うと、自分が少し丸くなった気がした。
(だいたい初めて会ったときにスザクは… ……)
顔が熱くなったくらいに後ろから誰かが走ってくるのがわかった。
走ってまで話かけにくる奴は居ないだというと気を抜くと、背中をカバンごしに叩かれた。前のめりになり汗がぽたりと地面に落ちる。
「っ! なんてことするんだ! …」
そう怒りを込めて言ったのだが、姿勢を戻し振り返った所に居たのは涼しげな顔をしたスザク。走ってきたとも、詫びているとも思えない表情だ。
「お前案外早歩きなんだな。やっと追いついた」
「まあな」
「…なんかあったのか?」
「何もない。ただ最初から君と帰っておけばよかったと思っただけだ」
「え。…」
今朝方も同じような反応をされた気がする、のは、忘れよう…。
「…そうすれば、背中を押されずにすんだ」
「なんだそういう事かよ…」
つまらなさそうにスザクが肩をおとす。そんなスザクを見てルルーシュはニヤリと笑った。
「ふん、どういう事だと思ったんだ?」
「俺と居るのが楽しいのかと思った」
からかってやろうかと思ったのに、揚げ足をとるかのように答えられルルーシュは硬直した。
(そ、そう思っていると思ったのか!? 君は…!)
「? どうしたんだよ」
何も気にしていない表情のスザクを見て恥ずかしさがこみ上げる。さっき思い出した、初めて会ったときにこみ上げた恥ずかしさとはどこか別だと思いながら。
(なんで僕が恥ずかしい思いをしなくちゃならないんだ!)
「なんでもない! 早く帰るぞ」
「…やっぱなんか変だぞ? お前」
スザクが不思議そうに首をかしげ、そのまま顔を覗き込んでくる。
(人の顔を覗き込むな! 近い! 離れろ!)
「うるさい! 変なのはスザクのほうだ!」
「なっ!? 俺のどこがヘンなんだよ!」
「知らない! ともかく君は変だ! 変を僕にうつすな!」
鼓動とあわせて早歩きになる足を責めつつ、横を同じように歩くスザクには負けたくない。同い年なんだから対等で居たいと思うのは普通だと思う。

行きの通学路の無言さはどこへ行ったのかと思うほど言い合いをして同じ家に帰る。

「あー、あんま下向いて歩いてるとこけるぞ?」
「そんなドジはしない」
「頭に血が上ってよくないって、言うじゃん」
「そんなこと知ってる!」
「顔赤くなるぞ? なってるんじゃないのか?」
「煩いな君は! っ、いい加減! 覗きこむな!」

夏の通学路は全てが騒がしい。

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